
2009年03月24日
離人症
木村敏著の「時間と自己」の中に、この離人症という言葉が出てくる初めて聞く言葉である。「自明なこと的感覚は、ある種の神経症で跡形もなく消失してしまう。」なぜ離人症と呼ばれるかは、この症状においては外界の事物や自分自身の身体についての実在感や現実感、充実感、自己所属感などといった感覚が失われるだけではなく、なによりもまず自分自身の自己がなくなってしまった、あるいは以前とすっかり違ってしまった、感情や性格がが失われたという体験が訴えられたと言う。自分ということがどういうことなのかが分からない。「ここ」とか「そこ」とかいう意味がわからない、空間にひろがりがというものが感じられないという。この症状はある日突然に始まることが多く、数年あるいは数十年にわたって持続すると言う。どのような神経系統の機構がこの不思議な症状を引き起こすのかまだぜんぜんわかってないが、精神病理学的には、苦痛な現実にこれ以上耐えられないという気持ちの長時間にわたる持続と、それに続いて突然始まるこの病的な現実喪失感とのあいだに深い意味的な関係があるものと考えられていると言う。こういう病気が突然くると怖いと思う。強いストレスや苦痛を長時間耐えるのではなく、苦痛を避けて通るように心がけることが大切かも知れない。
Posted by ノブー at 00:36│Comments(0)